木を使う〜公共施設の事例〜

県産材の振興に向けて
 木の建築物は一般住宅のほか、徐々に公共的な施設へ広がりつつあります。戦後、学校では昭和30年代ごろまでは多くが木造校舎でしたが、鉄筋コンクリートへの建て替えが進み、木造校舎の姿はほとんどが消えました。しかし最近、子どもたちの情操教育に有効との観点から、学校校舎での木の建物の再評価が進んでいます。内装材として木を使うケースも増えています。公共的な建築物への木材の活用は、県産材の需要拡大の面からも期待されるところです。県内で木を活用した公共施設の代表例を紹介してみました。

公共施設の事例

茂木町立茂木中学校

 茂木中学校の木造校舎は、2007年6月に着工し、2008年
12月に完成しました。使用した木材は、旧逆川財産区の町有林から切り出した樹齢70年から95年の杉、ヒノキです。
 旧逆川村の村民は、大正初期から村をあげて約150ヘクタールの村有林に植林しました。植えた杉、ヒノキは65万本にのぼったといいます。その後も人々は下草刈りや枝打ち、間伐など山林を守る活動を続け、大切に育ててきました。これらを建材として活用し、合わせて先人たちの子孫に対する思いや町の歴史を学ぶ教材としました。
 建設に当たっては、伐採、製材、建設まで多くの町内関係者が関わり、地域の活性化にも寄与しました。

参考文献:「茂木町立茂木中学校改築事業の概要」(茂木町教育委員会)
茂木中学校の校舎
茂木中学校の校舎内部(1)
茂木中学校の校舎内部(2)

鹿沼市立粟野小学校

 鹿沼市立粟野小学校︵建設当時の校名は粟野第一小学校︶の校舎は、2014 年9月に完成しました。地場産業の総力を集めてつくられました。
 地元となる粟野地区は県内でも有数の木材の生産地として知られ、優良な建築用材を送り出してきました。同地区で古くから山林を育ててきた粟野財産区は、建築用材としての杉素材を800㎥提供し、建設実現に大きな役割を果たしました。
 また、製材、加工、建築など、すべての工程を市内の地域産業によって行いました。鹿沼市は昔から木工業の盛んな「木のまち」として栄えてきましたが、その名にふさわしいモデル的な施設となっています。
参考文献:鹿沼市HP
粟野小学校の校舎内
粟野小学校の校舎 
写真提供:鹿沼市教育委員

栃木県庁

 建築用材とは少し異なりますが、県民生活の中心施設となる栃木県庁には、県産材を活用した施設が何カ所かつくられています。
 1階ロビーを入った正面壁に設置されているのが、県産材のシンボルともいうべき並木杉でつくられたルーバーです。日光杉並木街
道の杉で、日光東照宮から寄贈を受けた杉材を薄い板状に加工して使用しました。大谷石の壁材と組み合わせてつくられました。
 15階の展望ロビーの壁面には、県産のヒノキ材を加工した木の作品があります。何気なく並べてあるようですが、実は「県民の歌」の音符を表しています。これらのほかにも庁内さまざまな場所に県産材が使われています。
 
栃木県庁1階ロビー正面壁の並木杉のルーバー
栃木県庁15階展望ロビーにあるヒノキ材の作品
写真提供:栃木県

公共施設の木質化

栃木県は2011 年12 月、「とちぎ木材利用促進方針~公共施設の木造・木質化~」を定めました。現在、同方針に基づき、県内の公共施設の木質化が徐々に進んでいます。
 2010 年10 月、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されました。これに基づき、国から「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」が示され、地方公共団体でも同方針に即した主体的な取り組みが求められることになりました。これを受けて定められたのが県の方針です。
 木の家は調湿性や断熱性に優れ、リラックス効果が期待できることなどから、多くの人に好まれていますが、公共建築物には木造が少ないのが現状でした。しかし、建築基準法の改正などが行われ、木造建築の可能性は大きく広がりました。
 こうした状況を受け、県民の健康増進と快適な生活環境の創出を進め、また木材の良さや特性を広く知ってもらうため、地域のシンボルとなり模範ともなる公共施設の建設に際し、用途に応じて効果的に木材を使用した優良な施設を整備していくことを定めたのが前述した「とちぎ木材利用促進方針」です。木材利用を促進する施設として、公共建築物、公共土木施設等、机・いすなど庁用物品等などを挙げ、年度ごとに各種の木質化が進んでいます。
参考文献:栃木県HP